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「有効性審査について」の一考察

2011年2月 7日 審査員 銭谷 剛宣
有効性審査については既に3年以上、認証取得組織の事故や不祥事を未然に防止し、ひいてはISO制度に対する社会信頼を回復するとして、様々な論議がされてきたが、有効性審査についての明確な指針/見解がないまま現在に至っている。

 通常、有効性審査とは「マネジメントシステムの有効性」を評価することであり
1) 提供される製品・サービスが要求事項(法的要求、業界等のガイドライン、規格要求、顧客要求組織自体の要求)に適合し、それらが有効に機能しているのか
2) 方針/目標に対して「実施された結果/程度」(パフォーマンス)」が意図した通りになっているのか、向上しているのか
3) 上記の1) 2)が継続的に実施されているのか
を評価することとされている。         
 
本来、審査/監査とは監査証拠を監査基準に照らして客観的に評価し、満たされている程度を判定する活動である。 その場合、適合性審査では規格等要求項目が監査基準であり、組織の業務とその実行が規格等要求事項ひとつひとつを満たしているかどうかを判断する。すなわち、適合かどうかの二者択一の論理が判断基準である。

それでは、有効性審査とは適合性審査とどこが違うのであろうか、それには
1)有効性審査と云う監査の目的は何か
2)その監査の目的に対して、監査人の意見である結論はどうあるべきなのか
3)その場合、結論を導くために監査で立証すべき命題である監査要点は何か
4)又、監査要点の立証のために収集された客観的証拠に対する監査基準と判断基準は何か
5)そして、監査要点が満たされている程度と監査の結論における判断基準は何か
  
それらを対比し、有効性審査が適合性審査の不十分性を解決出来ることを説明しなければならない。しかし、これに論究したJAB等公的機関の指針/見解は見られない。

今、審査においては二つの主張がある。一つは重大な事故や不祥事を起こすような組織を見極めることが重要であり、その可能性が認められ組織に対しは是正処置を繰り返させ、場合によっては登録証を発行しない,或いは停止すると云う強い姿勢が必要である。と云う主張がある。

しかし、一方においてISOは組織のマネジメントシステム(経営)品質を審査するのであり、製品品質や環境影響の大きさを審査するもので無い。製品検査や財務諸表監査とは違う、制度の限界を超えるものだと云う主張がある。故に、有効性審査の総論賛成、各論混迷の状態が続いている。

ではこの問題をどう解決するのか。私見としては、マネジメントシステムの有効性を評価するために、先に述べた監査の目的と結論、監査要点、監査基準と判断基準を明確にしていくしか無いと思う。

 この場合の明確化とは、我々としての明確化であって、全ての認証機関に共通に適用されるものでは無い。唯、その明確化の作業において科学的な論理思考が必要なのであって、例えば「まあいいか」と云うどんぶり勘定的な論理思考を取るべきでない。実務的には、各セクター規格が参考になると思う。各審査員においては、各産業分野に関する専門的能力のみならず、各産業共通の、例えば財務、経理、労働・安全等の専門的能力もひたすら高めていくしかないと思う。